にょほほ電鉄 - 車両 - 東急電鉄
東急電鉄は、東京西部と神奈川県東部の一体に路線を所有する鉄道
で、目黒〜蒲田間で開業した「目黒蒲田電鉄」を起源とする。沿線
は、田園調布に代表される高級住宅地が多く「住みたい街」の上位
にランクされる。車両で特徴的なのは、日本初のステンレス車両を
登場させた事で、かつ所有車両をいち早くステンレス車に統一した
のも大手私鉄では東急が最初である。2019年、会社再編に伴い
東京急行電鉄から鉄道事業を分社化し社名を「東急電鉄」とした。
駅名標 東京急行電鉄
駅名標は、駅ナンバリングの採用を踏まえ、駅番号やラインカラー
を全面に推したデザインのものとなった。ラインカラーは東横線が
濃い赤、田園都市線が緑、目黒線が水色、大井町線が橙色
池上線が
ピンク、多摩川線が紫色、世田谷線が黄色となる。
東急の駅名標は伝統的に平仮名を大きく表記していたが、現駅名標
から漢字表記に改められた。
※矢印を画像にかざすと大井町線の駅名標へ。

和文書体:新ゴ
欧文書体:Helvetica

注意喚起用ドアステッカーは、クマさんが指をさすという微笑まし
い絵柄のもの。対して車外側のものはピクトグラム風のシンプルな
デザインとなる。余談であるが過去には、手を挟まれた子供が号泣
しているという「凄惨な」イラストのものがあった。幼少期の作者
はこの絵柄に怯え、しばらく東急がトラウマになった事がある。
※矢印を画像にかざすと車外側ステッカーの画像へ。
2018年にデビューした2020系・6020系には、クマさん
ステッカーの他に、戸袋寄りにピクトグラムふうのステッカーが貼
付される。上段と下段に貼付され、上段は手のイラストと漢字表記
の「ドアに注意」下段はカバンのイラストと平仮名表記の「ドアに
ちゅうい」となる。
※画像は上段。矢印を画像にかざすと下段の画像へ。

2020系(2018年)

田園都市線用車両。8500系等の老朽化に伴い登場した。車体は
沿線の駅や街との親和性を高めるため、沿線商業施設等のデザイン
を手掛ける丹青社がデザインを監修した。コンセプトカラーとして
窓上にホワイトを使用、丸みを帯びた前面形状と共に親しみやすさ
をアピールした。車内はデジタルサイネージによる情報サービスを
提供、安全面では車両機器を常に監視できる大容量情報管理装置を
採用し車両故障の未然防止を図る。2018年3月に営業運転を開
始した。
6020系(2018年)

大井町線用車両。2020系の大井町線バージョンとして登場した。
アクセントカラーが大井町線のラインカラーであるオレンジとなり
デジタルサイネージが省略されている以外は2020系と共通設計
となる。2018年3月に営業運転を開始したが、大井町線に座席
指定サービスが開始されたことから早々に編成替えが発生、現在は
3号車にロングシート・クロスシート変換が可能なデュアルシート
装備車「Qシート」車両が挿入されている。
3020系(2019年)

目黒線用車両。2020系の目黒線バージョンとして登場した。ア
クセントカラーは目黒線のラインカラーであるブルーに変更、また
将来の東急新横浜線および相鉄線直通用途を見越し8両編成として
製造される。ただ現状は2両を抜いた6両編成で運用される。ワン
マン運転を行う路線である事から、路線に合わせた仕様変更がされ
ている。2019年11月に営業運転を開始した。
6000系(2008年)

大井町線用車両。大井町線の急行運転開始に伴う充当車両として登
場した。5000系をベースとしているが、流線型の前面デザイン
や、スピード感を強調した側面ストライプなどに特色を見出す。内
装は、座席を大井町線のラインカラーであるオレンジとし、妻面は
木目としている。現在、一部車両にはデュアルシート装備車「Qシ
ート」車両が連結される。
7000系(2007年)

池上線・多摩川線用車両。5000系をベースとしながらも両路線
の線路規格に合わせて18m級中型車とされた。塗装は緑色のスト
ライプとなるが、この塗装は過去に上田交通(現・上田電鉄)へ譲
渡された初代5000系の現地での塗装に雰囲気が重なる。車内は
木目調の配色で中間車の車端部にはボックスシートが設置される。
5000系(2002年)

田園都市線用車両。3000系をベースに東日本旅客鉄道E231
系と共通の部品を取り入れる事により高性能化とコスト削減を両立
した。当初は田園都市線用車両であったが、東京メトロ副都心線直
通による東横線の車両統一に伴い、一部車両は東横線へ転属された。
ストライプは、コーポレートカラーである赤のほか、補助ストライ
プとしてラインカラーが配される。田園都市線車両は緑。また東横
線はラインカラーが赤で、ストライプが2本とも同一色となってし
まう事から、補助ストライプは淡色の桜色としている。
■5000系「青ガエル」ラッピング編成(2017年)

2017年に東横線が開通90周年を迎えた事を記念し、5122
編成に往年の名車・初代5000系のライトグリーン塗装を復元し
ラッピングを施した。初代5000系は車体軽量化を実現すべく飛
行機の技術を応用したモノコック構造を採用、下膨れの前面形状と
2枚窓、そしてグリーン塗装が蛙を連想させ「青ガエル」の愛称で
親しまれた。当初は1年間の運行予定であったが人気を博したため
運行期間が1年延長、さらに2019年8月30日に一度は運行終
了となったものの、90周年装飾を外したうえで延長が決定した。
5080系(2003年)

目黒線用車両。東急の新標準車5000系は、目黒線の車両増備と
して目黒線にも配属された。基本番台との変更点は6両編成である
事と、補助ストライプが目黒線のラインカラーである青色である。
内装色は暖色となるが、妻面のみはラインカラーに合わせたブルー
系。目黒線の他、東京メトロ南北線や埼玉高速鉄道線、都営地下鉄
三田線にも乗り入れる。なおこの車両は、基本番台との区別のため
5080系とも呼ばれる。
5050系(2004年)

東横線用車両。東急の新標準車5000系は、東横線の旧型車置き
換えとして東横線にも配属された。東横線のラインカラーは、本来
赤であるが、補助ストライプは淡色の桜色となる。内装色は暖色の
他、妻面は補助ストライプと同等のピンク系となる。東横線のほか
みなとみらい線、東京メトロ副都心線や西武池袋線、東武東上線へ
も顔を出す。なおこの車両は、基本番台との区別のため5050系
とも呼ばれる。
5050系4000番台(2011年)

東横線用車両。2013年に開始された東京メトロ副都心線との直
通運転開始に備え、5050系の10両編成版として登場した。8
両編成と番号を区別するため、車両番号は空き番である4000番
台となった。4010編成は、東急系の商業施設である「渋谷ヒカ
リエ」の開業1周年を記念した特別列車「ShibuyaHikarie号」とな
り、イメージカラーであるゴールドをメインとした特別カラーとな
っている。また吊手は編成中1か所のみハート型となる。ヒカリエ
号は2013年に営業運転を開始した。
3000系(1999年)

目黒線用車両。都心への主要路線として変身した目黒線はワンマン
運転とするため、対応車両として投入された。車体はステンレス製
であるが波状加工のないスッキリとした形状となった。また、東急
伝統の前面切妻形状をやめ、丸みを帯びた前面形状となった。目黒
線のほか、東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道線、都営三田線にも乗
り入れる。余談であるが、登場当時はまだ目黒線が開業前であった
ため、暫定的に8両編成で東横線で使用された過去がある。
1000系(1988年)

旧7000系に代わる新しい日比谷線直通用車両として製造された
車両。外観は9000系と酷似するが、日比谷線乗入れ規格に準拠
した18m級中型車となる。後には池上線と多摩川線の旧型車置き
換えとしてワンマン仕様の3両編成が登場した。2013年、東横
線と日比谷線の直通運転が廃止されたため、8両編成は東横線から
撤退した。また池上線・多摩川線所属車両も7000系の登場によ
り廃車が発生し、一部車両は上田電鉄などへ譲渡された。
1000系(1013編成・1990年)

日比谷線直通用車両として登場した1000系は、1990年に製
造された3次車のうち一部編成で、東横線と目蒲線(当時)での予
備車共通化のため、8両編成の東横線と4両編成の目蒲線での両線
で使用できるよう4+4両編成とされ、分割が可能なように中間運
転台が設けられた。中間運転台を持つ車両は他の先頭車とは異なり
貫通扉が中央に設けられている。現在は車両の再編や地方私鉄への
譲渡などで3両編成1本のみが池上線・多摩川線で活躍する。なお
現在は緑色のラッピングとなる。
1000系1500番台(2014年)

東横線の地下鉄日比谷線への直通運転が廃止になり、余剰となった
1000系は、一部編成が3両編成へと改造のうえ池上線・多摩川
線へと転属された。転属にあたり制御装置は7000系と同等のも
のへ換装、内装や外観ストライプも7000系に準じている。改造
車であることから1500番台の車号が付与されている。2014
年5月より営業運転を開始した。
1000系「きになる電車」(2016年)

「いい街いい電車プロジェクト」の一環として1017編成が特別
デザインとなって登場した。外観は、1950年代に活躍したデハ
3450形の塗装である紺色と黄色のラッピングを施された。また
内装は木目調となり、吊り革は天然木を使用。室内照明はLEDを
使用、また防犯カメラを設置している。中吊り広告で沿線地域の情
報を発信していく。2016年3月より営業運転を開始した。
9000系(1986年)

関東大手私鉄で初のVVVFインバータ制御量産車両。正面は運転
室スペース拡大のため、貫通扉を左に寄せたデザイン。また車内妻
面にはボックスシートが設置された。しかし最新の走行装置が東横
線の線路に馴染まず、運用開始後すぐに横浜付近の急曲線で脱線し
てしまい、しばらくは大井町線でのみ使用されたというトホホな過
去がある。現在は装置改良により克服した。一時期は東横線の雄で
あったが、2013年、東京メトロ副都心線との相互乗り入れ開始
に伴う車種統一のため東横線から撤退した。現在は大井町線で活躍。
※矢印を画像にかざすと東横線時代の画像へ。
8500系(1975年)

東急初の大型車・8000系の田園都市線用として登場。前面には
種別表示機の設置や赤いラインが追加された。完成度の高い仕様が
評価され、鉄道友の会より「ローレル賞」を受賞した。永らく田園
都市線の雄であったが、老朽化により引退も近い。一部車両は長野
電鉄や秩父鉄道へと譲渡されている。
※矢印を画像にかざすと大井町線時代の画像へ。

300系(1999年)

軌道線である世田谷線用の車両。21世紀を目前に控えた当時の世
田谷線ではバリアフリー未対応の非冷房車が占めており、近代化を
目的として導入された。デハ200形以来の連接構造となり、単車
2両編成の従来車では不可能であった、車両間の行き来が可能とな
った。鋼体は、外板に腐食対策としてステンレス鋼を用いたセミス
テンレス車体となる。編成毎に異なるカラーのラッピングフィルム
を施されるが、301号は、かつて玉川線で活躍したデハ200形
の登場50周年を記念し、同様の塗色を施されている。

■2000系(1992年〜2018年)

田園都市線用車両。輸送力増強のため製造された。外観は9000
系がベースとなるがVVVFインバータの仕様や空調機器が相違点。
地下鉄半蔵門線への乗入れに対応するが、東武線への乗入れには対
応していない。そのため運用も限定される。わずか3編成で製造を
終了している。2020系投入に伴い田園都市線から撤退。現在は
短編成化のうえ大井町線へ転属し、形式を9020系と変更のうえ
活躍する。
■1000系東横線用(1988年〜2013年)

現在も池上線・多摩川線で活躍する1000系は、当初は日比谷線
直通用車両として東横線に導入された。2013年、東横線と日比
谷線の直通運転が廃止されたため東横線から撤退、8両編成の堂々
たる姿は過去の物となった。一部編成は3両編成化のうえ池上線・
多摩川線へと転属(1500番台)された他、伊賀鉄道、一畑電車
への譲渡も行われている。

■8090系・8590系(1980年〜2019年)

コンピュータ解析により必要な強度を算出し、従来と比較して大幅
な軽量化を実現した、日本初の軽量ステンレス車両。鋼体歪み防止
のためタマゴ形の断面となる。先頭車は前面非貫通構造であったが
当時の所属であった東横線に、みなとみらい線直通計画が浮上した
ため、1988年に直通対応を施した先頭車両の8590系に付け
替え、また余剰車は大井町線に転属された。前面非貫通構造の編成
は老朽化のため2013年に全車引退、また先頭車両が8590系
の編成は後年、田園都市線に転属されたが、2019年に引退した。
一部車両は短編成化のうえ、秩父鉄道や富山地方鉄道へと譲渡され
活躍する。
■8000系(1969年〜2008年)

輸送力の増強を目的とした、東急初の20m級大型車。また世界で
初めて界磁チョッパ制御を実用化し、省電力化とコスト減を両立さ
せた。さらに加速と減速をひとつのハンドルで操作が可能な「ワン
ハンドルマスコン」を試作車以外では日本で初めて採用。新機軸が
満載の車両であるが、何故か技術的な賞は何も受賞されていない。
登場当時は無塗装であったが、後に赤と黒の派手な塗装となり、歌
舞伎の隈取を思わせる塗装は「歌舞伎塗装」と呼ばれた(矢印を画
像にかざすと「歌舞伎塗装」の画像に
老朽化のため2008年を
もって引退した。一部編成は伊豆急行へ譲渡される。
■7200系・7600系(1967年〜2015年)

日本初のオールステンレス車両として登場した7000系は、主要
路線以外では性能過剰であったため、導入コスト削減のうえ導入さ
れた車両。前面形状は、ダイヤの様な多面体形状で「ダイヤモンド
カット」と呼ばれた。1987年、電動車確保のためVVVFイン
バータ制御化のうえ電動車化され、その際に7600系へ改番され
た。晩年は池上線・多摩川線で活躍したが、2015年2月をもっ
て引退した。
※画像は廃車回送時。編成後部に「TOQ@」が連結されている。
■7200系・アルミ車両(1967年〜2012年)

1967年に登場した7200系はオールステンレス車体の車両で
あったが、グループ会社であった東急車輛製造(現:総合車両製作
所)のアルミ車体製作技術取得の目的で、アルミ試作車両が2両の
み製造された。東急でのアルミ車両は、後にも先にもこの車両のみ
となる。営業車としては、こどもの国線での活躍を最後に現役を退
いたが、1991年、先代架線検測車の老朽化に伴い、事業用車と
して改造を受け、架線検測や池上線・多摩川線車両の回送牽引用と
して活躍した。新型検測車「TOQ@」導入に伴い2012年2月
をもって引退した。
■7000系・7700系(1962年〜2018年)

日本初のオールステンレス車。アメリカBUDD社の技術提携によ
り作成されたためアメリカの地下鉄車両に酷似する。営団(現・東
京メトロ)日比谷線への乗り入れ運用にも就いた。車体重量の関係
で長年、冷房化ができなかったが、車体自体は劣化が皆無であった
ため、車体以外の台車や内装を総交換し、制御装置もVVVFイン
バータ制御化され、冷房化に漕ぎ着けた。その際に形式が7700
系へと改番された。老朽化のため2018年11月をもって引退し
た。

■300系「玉電110周年記念」車両(2017年〜2018年)

1907年に渋谷〜玉川間が開業した玉川線が、2017年で開業
110周年となった事を記念して、308号に、沿線の豪徳寺が発
祥とされる招き猫をあしらい「幸福の招き猫電車」として運行開始
した。また305号には開業当初の木造単車をイメージした茶色と
ホワイトのラッピングを施された。2018年10月までの運行で
あった。ただし招き猫電車は2019年5月「世田谷線50周年」
の一環として「猫耳」が付いた姿で復活している。