にょほほ電鉄 - 街 - 江の島エスカー
江の島エスカーは、神奈川県藤沢市の江島神社内にある屋外エスカ
レーター。1959年に江ノ島鎌倉観光(現:江ノ島電鉄)によっ
て設置された。屋外のものとしては日本初となる。またエスカレー
ターながら、利用には切符を購入する必要がある。この項では国内
でも珍しい「有料エスカレーター」を紹介する。

■江の島

神奈川県藤沢市の片瀬海岸沖にある島。古来は片瀬地区と陸続きで
あったが、侵食により現在は干潮時のみ陸続きとなる陸繋島となる。
江戸時代後期には既に行楽地として定着した。1902年には江之
島電氣鐵道が、1929年には小田原急行鉄道の開通により更なる
発展を遂げた。現在、江の島は「島」そのものだけではなく、片瀬
地区、鵠沼地区を含めた観光地「総称」を指す場合が多い。
■江島神社

江の島弁天橋を渡り、江の島に上陸すると参道の先に赤い鳥居と竜
宮城のような建物が目に入る。ここから先は江島神社の境内となる。
江の島は、島全体が江島神社の境内である。神社は
宗像三女神を祀
る。「奥津宮」には多紀理比賣命を、「中津宮」には市寸島比賣命
を、「辺津宮」には田寸津比賣命を祀り「江島大神」と総称する。
元々は寺であったが、明治時代の廃仏毀釈の後は仏式を廃して神社
となる。朱の鳥居の左側には、山頂へと向かう階段と、エスカーの
りばが現れる。
■エスカーのりば

朱の鳥居の左側には「江の島エスカー」のりばが現れる。エスカー
は、朱の鳥居〜辺津宮を結ぶ1区、辺津宮〜中津宮を結ぶ2区、そ
して中津宮〜頂上を結ぶ3区とに分かれる。画像の建物は1区入口
で、入口付近には、エスカレーターにもかかわらず「切符売場」が
設置される。切符売場がある事から、エスカーを「ケーブルカーか
何か」と誤解される事が多く、事実を知った時に脱力感を覚える観
光客も多い。なお、こちらの切符売場では全区間と1区(辺津宮)
までの切符を販売している。
■エスカー1区(1連目)

切符を購入しエスカーに乗車する。この画像を見る限りでは、どこ
かの商業施設のエスカレーターと何ら変わりはない。
■エスカー1区(1連目)

エスカー乗車中。エスカレーター脇には、頂上に立地する「江の島
サムエル・コッキング苑」の植物や、対岸に立地する「新江ノ島水
族館」の魚の画像(広告)が展示される。
■エスカー1区(1連目終点および2連目起点)

1区のみは2連のエスカレーターで成っているため、途中で乗換え
が必要である。画像は乗り換え地点。作者の撮影地点が1連目終点
で画像中央が2連目起点である。
■エスカー1区(2連目)

2連目乗車中。広告がエスカレーターの左脇に移った以外は1連目
と変わりはない。
■1区出口

エスカー1区の終点。辺津宮の敷地内に立地する。出口脇には「銭
洗白竜王」と銭洗池があり、こちらの黄金浄水で心とお金を洗い清
め、お詣りに望む。
■辺津宮(へつのみや)

1206年に源實朝が創建した辺津宮は、田寸津比實命(たぎつひ
めのみこと)が祀られている。現在の建物は1976年の大改修に
より新築されたものである。江の島の神域内で最も下に位置する事
から「下之宮」とも呼ばれる。なお敷地内には奉安殿、八坂神社、
稲荷社・秋葉社も立地する。また片瀬海岸も眺望できる。
※矢印を画像にかざすと江の島対岸(片瀬海岸)の画像へ。
■辺津宮からエスカー2区へ向かう

次のエスカーのりばへ向かう。辺津宮の鳥居をくぐり右折、参道を
歩く。
※矢印を画像にかざすと参道の画像へ。
■2区入口

辺津宮〜中津宮を結ぶエスカー2区。社殿の敷地から外れた場所に
あるためか、建物はシンプルなものとなる。こちらの切符売場では
2区〜3区の切符が販売され、2区のみの切符は買う事ができない。
※矢印を画像にかざすと屋内の画像へ。
■エスカー2区(3連目)

3連目乗車中。1区のエスカレーターと異なり、幅が狭くなってい
る。また辺津宮までの利用が多いためか、2区の利用客は極端に少
なくなっている。
■2区出口

エスカー2区の終点。中津宮の敷地内に立地する。こちらも社殿の
雰囲気に合わせた建物となる。
■中津宮(なかつみや)

853年に慈覚大師が創建した中津宮は、市寸島比實命(いちきし
まひめのみこと)が祀られている。1689年には徳川綱吉により
本殿・幣殿・拝殿からなる権現造りの社殿が再建。1996年に大
改修され、現在に至る。境内には石燈籠が奉納される。
■3区入口

中津宮〜頂上を結ぶエスカー3区。社殿に似せた建物ながら1区の
入口とは異なり、ガラス張りの開放感ある建物となる。
■エスカー3区(4連目)

最後のエスカーに乗車中。2区(3連目)と同様に幅は狭い。何故
か広告は観光施設ではなく「明治チョコレート」(2014年現在)
となる。
■3区出口

江の島頂上にあるエスカーの終点。3区入口と同様のガラス張りの
開放感ある建物であるが、社殿に似せた入口とは異なり、やや簡素
な雰囲気も否めない。出口を右へと進むと、江の島サムエル・コッ
キング苑へ、さらにその先の奥津宮へと至る。
余談ながら、奥津宮は多紀理比實命(たぎりひめのみこと)が祀ら
れており、創建は不明であるが現在の建物は1842に再建された
もの。2011年に大改修が行われ、現在に至る。また拝殿天井に
は「八方睨みの亀」が描かれている。
■江の島サムエル・コッキング苑

横浜在住のアイルランド人、サムエル・コッキングが1880年に
江の島の頂上敷地を買収し、1882年に開園させた植物園が起源
の観光施設である。関東大震災時には荒廃したものの、藤沢市が買
収した。園内には展望灯台「江の島シーキャンドル」も存在する。

江の島エスカーは、それまで頂上へ行くには数百段の階段を上るし
かなかった江の島において1959年に登場したエスカレーターで
1959年に江ノ島鎌倉観光(現:江ノ島電鉄)によって設置され
た。頂上まで4分で赴ける事から多くの観光客に好評を得ている。