にょほほ電鉄−街−東京高速道路
東京高速道路は、首都高速都心環状線の汐留ジャンクションから分
岐し、銀座の街を通り、再び首都高速と合流する京橋ジャンクショ
ンまでを結ぶ自動車道。開通は首都高速よりも早く「高速道路」と
名のつく道路では日本初のものとなる(ただし狭義での高速道路は
名神高速道路が日本初)特徴的な事として道路下はテナントとなっ
ており、その賃貸料収入で運営されているため、日本有料道路協会
に加盟しているものの無料で走行できる。この項では、銀座に存在
する、ちと変わった道路を紹介する。

■首都高速八重洲線(汐留側)

首都高速八重洲線は、西銀座JCTより神田橋JCTを結ぶ路線の
他、都心環状線の汐留JCTから新橋出入口までの支線を持つ。新
橋へと向かう途中「乗継所」なる見慣れない標識がある。この先に
汐留乗継所が存在する。
■汐留乗継所

東京高速は料金無料の道路であるが、路線の両端は首都高速に接続
している。汐留JCTよりこの道路を経由して西銀座および白魚橋
にて再び首都高速に向かうと料金が二重徴収される恐れがあるため
そのような利用者のために、ここで乗継券を発行している。もちろ
んETCにも対応。
■蓬莱橋交差点

汐留乗継所を過ぎるもしばらくは八重洲線となるが、蓬莱橋交差点
を過ぎたあたりから道路下に店舗が見え始める。ここから東京高速
道路となる。通常、高速道路の下は空き地となっている場合が殆ど
であるため、あたかも鉄道駅のような雰囲気である。東京高速は河
川を埋め立てて建設されたため道路下のテナントは現在でも行政上
の所属が決まっていなく、正式な住所は存在しない。なお画像左端
の急カーブは新橋入口。
■新橋付近

東京高速道路は、汐留川、外濠、京橋川を埋め立てた跡地に建設さ
れたため、当然ながら橋の跡も存在する。しかも橋の中には地名に
もなっている有名な橋が多い。汐留川と中央通り(東海道)との交
差部に架けられた新橋もその一つである。橋の北側は銀座。現在で
も車の絶えない交通の要所となる。また地下には東京メトロ銀座線
が通る。
■土橋付近

新橋の西側、汐留川と外堀通りとの交差部に架けられた橋が土橋で
ある。ここから道路は汐留川跡から外濠跡へと進路を変える。その
ため「高速道路」と名乗る道路にしては有り得ない程の急曲線が存
在し90度向きを変える。なお北行き方面には土橋入口が存在する。
またJR新橋駅は、新橋出入口よりもこちらの方が近い。
■新幸橋付近

土橋で北へと進路を変えた東京高速はJR線の高架橋と並走するが
並走区間の両高架橋の間には幅数メートルの私道が存在する。この
私道は東京高速所有のものであり、一般車は通り抜けが禁止されて
いる。なお新幸橋付近からは国会議事堂が望める。
※矢印を画像にかざすと国会議事堂の画像へ。国会議事堂の背後の
ビルは、今はなき赤坂プリンスホテル。
■東京高速道路を走る

上記画像の道路上。東京高速道路は一部を除いて片側一車線の対面
通行となる。また標識類も、高速道路では一般的なグリーン地では
なく一般道路と同様のブルー地となる。これは、この道路が「道路
法」に基づく「自動車専用道路」ではなく「道路輸送法」に基づく
「一般自動車道」となるため。
また公共の河川跡に建設された事か
ら東京都より無料化を条件とされたため、当道路は無料で通行でき
る。ただし道路維持管理目的として道路下をビルとして、テナント
から賃貸料を得ているため、日本有料道路協会に加盟している。

■数奇屋橋付近

JRの高架橋を離れると、日本一の繁華街・銀座に到達する。外濠
と晴海通りとの交差部に架けられた橋が数寄屋橋。画像は有楽町マ
リオンからの撮影(
対してTOP画像は数寄屋橋交差点からの撮影
周囲には、銀座ソニービルや有楽町マリオン、また宝くじで有名な
西銀座チャンスセンターが立地する。
■西銀座ジャンクション

銀座の中心部を過ぎると、東京高速は首都高速八重洲線との分岐部
に差しかかる。ここが西銀座JCT。分岐した首都高速は直線に進
み、その先の八重洲トンネルで地下に入る。また東京高速は、外濠
跡から京橋川跡へ進むべく、再び有り得ない急曲線で右へと進路を
変える。なお道路下のテナント内には、東京メトロ有楽町線の銀座
一丁目駅の出入口があるが、そのわずか数十メートル西側には同線
の有楽町駅の出入口が立地する。
■京橋付近

東へと進路を変えた東京高速は、再び中央通りを越える。京橋川と
中央通りとの交差部に架けられた橋が京橋。この京橋と新橋との間
の東海道沿いに煉瓦街が形成され、これが銀座のモダンなイメージ
となった。
■新京橋出口

全長わずか2km余という東京高速道路の北行き方面で唯一の出口。
「新京橋」という名前であるが実際は炭谷橋跡付近に接続している。
なお南行き方面の同位置には東銀座出口が存在するが、同位置なの
に出入口名が異なる。
※矢印を画像にかざすと出口側の画像へ。
■新京橋付近

京橋川と昭和通りとの交差部に架けられた橋が新京橋。東京高速も
いよいよ終点となり、この先に白魚橋料金所が存在する。なお料金
所下にある「京橋入口」の案内標識は首都高速都心環状線の標識で
あり、頭上の道路のものではない。
■白魚橋料金所

東京高速の北行きの終点。白魚橋料金所より先は首都高速8号線。
ただし8号線は白魚橋から都心環状線と合流する京橋JCTまでの
僅か数百メートルであり、実際には都心環状線の支線として扱われ
る。東京高速は戦後の銀座の復興と飽和状態に達した自動車交通の
緩和を目的として設立された。通行料金を無料とする代わりに道路
下にテナントを募集しその賃貸収入で賄うという、実にユニークな
形態の自動車道である。
しかし老朽化に伴い、廃道の計画が上がっ
ている。