VVVFインバータ制御

VVVF制御とはインバータ(周波数変換装置)を利用して直流を
交流に変換して、電車の速度に応じて電圧や周波数を変化させつつ
交流モーターを動かす制御方式。またブレーキ時にも抵抗を電力と
して再利用するので省エネルギー性が高い。さらに従来の直流モー
ターとは違い、交流モーターは故障が少ないので、維持費の削減に
も寄与している。この制御方法により加速度も向上するため、従来
は一編成あたりの電動車の比率が高かったが、電動車を少なくする
事ができ、製造コストも抑えられる。現在各電鉄の新造車は、ほぼ
全てがこの制御を採用している。


シーメンス製VVVFインバータ

ドイツの電機製造メーカーであるシーメンス社が製造したVVVF
インバータは起動時に「ドレミファ〜♪」と、特異な音を発する。
これは起動時に発する周波数可変の際に生じる音を、せめて耳障り
でない音に、とチューニング?を施した賜物である。最初に採用し
た車両は東日本旅客鉄道E501系であるが、有名なのは京浜急行
2100形、新1000形(1次車)である。ただし、東日本旅客
鉄道は以後の採用例はなく、京急も現在では静音性の高いIGBT
素子を用いたVVVFインバータを採用しているため、今後の波及
は無いものと思われる。


チョッパ制御

チョッパ制御とは、電流を瞬時に「入」と「切」を繰り返し、任意
の電流・電圧を擬似的に発生させる制御方式。従来の抵抗制御では
抵抗を熱として逃がしていたが、チョッパ制御では抵抗をブレーキ
時に電力として再利用するので省エネルギー性が高い。ただし現在
の新造車は、メンテナンス性の高いVVVF制御を採用している。





吊り掛け駆動

吊り掛け駆動とは、モーターを車輪軸と台車枠に橋渡しにする様に
設置し、モーターから直接、車軸ギアに動力を伝え駆動させる方式
である。構造が非常に単純なため19世紀末から長期に渡り多くの
電車に用いられたが、モーターの重量が大きく台車に負荷を与える
事と、高速運転に不向きな事、何より振動と騒音が激しい事が欠点
である。そのため、1951年頃から各社は、高速運転と静音性に
優れた「カルダン駆動」を採用し、吊り掛け駆動は、過去の技術と
なった。路面電車では現存する車両も多いが、関東の大手私鉄では
東武鉄道5000系が最後の車両であった。日本全国の大手私鉄で
も名古屋鉄道と西日本鉄道でわずかに残るのみ。ただしJRの電気
機関車では、単純な構造と信頼性から、新造車両でも現在までこの
方式を採用している。


カルダン駆動

高速運転に不向きであった吊り掛け駆動は、モーター重量の半分が
車軸にかかる構造で、よって車輪からの振動も受けやすい。これを
改善すべく、モーターを台車枠に固定し、車軸との間に継手を介す
ことによって駆動させる方式が発明された。これがカルダン駆動で
ある。この方式によってモーターが振動を受けにくくなりモーター
の小型化、高速化が実現し、そして故障も激減した。1951年頃
から普及し現在では一部の電気機関車を除いて標準の仕様となる。
当初はモーターをレール方向に配す直角カルダン方式が主流であっ
たが、台車の小型化の流れに支障となる事から、現在ではモーター
を枕木方向に配す並行カルダン方式が主流である。


純電気停止ブレーキ

走行中の車両を停止させるには車輪を制輪子(ブレーキシュー)で
押さえつけ、その力で停止させる方法が一般的。自転車のブレーキ
が代表的な構造である。しかしスムーズな停止に難があり、何より
ブレーキシューの磨耗が激しく、莫大な維持費がかかる。そのため
減速時には電気ブレーキ(モーターが発電機の様に電気を起こして
その抵抗力で車両を減速させる)を使い、完全に停止させる時のみ
ブレーキシューで押さえつける方法が、現在の鉄道車両では主流。
そして完全停止時にも電気の力を使用する新しいブレーキが純電気
停止ブレーキである。減速時は従来どおりであるが、完全停止時に
は、モーターを逆回転させて停止させる。今後の車両にはこの方式
が採用されるものと思われるが、緊急時の急ブレーキのこともあり
全ての車両はブレーキシューも残されている。


A−Train

家電や、通信機器などの製造メーカーである日立製作所は鉄道車両
製造などの重工業も手がける。特に新幹線車両の車体製造は日立の
比率が多く先頭車両に至っては、ほぼ独占状態となっている。また
「A−Train」と呼ばれるアルミ車両製造の技術は車体強度の
向上とコスト削減を両立し、かつ溶接箇所が目立たなく見た目にも
美しい鋼体の仕上がりとなっている。この技術を採用した鉄道車両
は近年多く、下記にその車両を掲載する。

西武鉄道  20000系、30000系
東京地下鉄  05系(一部)、10000系
 15000系、16000系
東武鉄道  50000系列
首都圏新都市鉄道  全形式
東葉高速鉄道  2000系
阪急電鉄  9000系、9300系