にょほほ電鉄 - 資料 - グッドデザイン賞・・・
グッドデザイン賞は、日本産業デザイン振興会によって優れたデザ
インの商品や建造物などに贈られる賞。元々は通産省が創設したが
現在は財団法人化されている。鉄道関連でも、車両のほか発車標な
どの旅客案内にも受賞される事もある。この項では、受賞鉄道車両
のうち、当サイトにて掲載の鉄道会社に所属する車両を紹介する。

■1986年

近畿日本鉄道7000系



■1990年

東武鉄道100系
東京モノレール1000形
江ノ島電鉄2000形



1991年

東日本旅客鉄道253系
東海旅客鉄道371系



■1992年

京王帝都電鉄(現:京王電鉄)8000系



■1993年

東日本旅客鉄道209系(金賞)
東日本旅客鉄道255系



■1994年

東日本旅客鉄道E1系
東日本旅客鉄道E351系
西武鉄道10000系
西日本旅客鉄道281系



■1995年

小田急電鉄2000系



■1996年

西日本旅客鉄道500系
小田急電鉄30000系(ロングライフデザイン賞)



■1997年

東日本旅客鉄道E2系
東日本旅客鉄道E3系
東京モノレール2000形



■1998年

東日本旅客鉄道E653系



■1999年

東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道700系



■2001年

京王電鉄9000系



■2005年

小田急電鉄50000形
名古屋鉄道2000系



■2007年

東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道N700系(金賞)
東京地下鉄10000系
■2008年

小田急電鉄60000形



■2009年

東日本旅客鉄道E259系
京阪電気鉄道3000系



■2010年

京成電鉄AE形

都心と成田空港を最速36分で結ぶための車両として、160キロ
運転実現を表象するシャープな外観、また快適な室内空間は華美に
ならず、天井高さと側窓の開放感が軽快な座席とともに高品質な仕
上がりとなり、さらに新幹線と同様の動揺防止装置など、全体とし
てシンプルで清潔感のある佇まいが、時間短縮ダイヤを越えた総合
的な取組みとともに評価された。
■2011年

東日本旅客鉄道E5系

グリーン車よりワンランク上の上質な空間客室としてデザインをす
る事で新マーケットの創出をめざした、先進性が評価された。
西日本旅客鉄道225系

安全性への配慮が徹底されており、急ブレーキ時にも怪我などの事
故につながりにくいよう、吊手や手すりなどのカラースキームにオ
レンジ色を採用しており、それが通常時でも目障りにならない範囲
のアクセント色として解りやすいデザインとなる。地味ながら室内
空間のトータル・デザインとして、安全性の向上を最優先のテーマ
とした取組みが高く評価された。
■2012年

千葉都市モノレール0形

床下や腰壁から景色を見下ろす眺望として捉え直した窓、浮遊感を
伝える新鮮な車体外観のグラフィカル処理など、魅力ある外観に加
え、室内のホールド感あるハイバックシートは公共交通として大切
な清掃性にも配慮されて、カラーコーディネートされた注意喚起色
から、車両内外装のシンボルロゴやネーミングまでの、総合的デザ
イン展開が評価された。
■2014年
東京モノレール10000形

制約の多い車両条件の中で、シートや情報ディスプレイに工夫を凝
らすことで、羽田からの歴史的な公共交通に対して質の高い移動空
間を提供した事、モダンでシンプルな車両内装が、長く使われる公
共交通にふさわしい飽きのこないデザインとなる事が評価された。
ゆりかもめ7300形(ベスト100)

従来の「ゆりかもめ」のデザイン水準を大幅に引き上げる革新的な
工夫がこらされている事や、2010年開催予定のオリンピック・
パラリンピックを迎える、東京臨海部の「顔」としての公共交通を
リノベーションさせた素晴らしいデザインである事が評価された。
グッドデザイン賞の中でも特に評価の高い「グッドデザイン・ベス
ト100」に選ばれた。
東日本旅客鉄道E6系

地形的な制約に対応するコンパクトな車両に、地域性を表現するデ
ザインを投入する事で実現した個性的な新型新幹線車両で、車いす
対応トイレなどの拵えと誂のセンスも素晴らしく、首都と秋田をつ
なぐ広域交通のデザインとして、高い水準を実現している事が評価
された。
東日本旅客鉄道E7系
西日本旅客鉄道W7系

北陸らしい伝統文化を感じさせる良質なデザインである事や、対象
線区特有の急勾配、電源切替、豪雪地帯に対応するために最新技術
が導入されると共に、女性専用トイレなどを配置するなど高いサー
ビス水準を実現している事が評価された。
■2015年

箱根登山鉄道3000形

伝統ある国際観光地・箱根の移動において、フルハイトの展望窓を
配置することで、自然の風が感じられるなど豊かな移動体験が可能
となる。箱根の移動風景を生かしたモビリティデザインが高く評価
された。
■2016年

相模鉄道9000系リニューアル車

横浜をイメージした「ヨコハマネイビーブルー」で車体全面を塗装
し「横浜を走る鉄道」を想起させたことや、昼夜で色調が変化する
車内照明、本革を使用したボックスシートなどを整備したことが評
価され、単なる移動手段ではなくお客様が豊かさを感じられる取り
組みを複合展開したことが受賞に繋がった。
埼玉新都市交通2020系

安全性や快適性を一段と高めていることに加え、六角形の車両断面
形状をデザインモチーフとすることで、車内スペースの効率化と明
快なデザインイメージを両立させている。また、内外を含めた車両
全体のデザインに統一感がある。外観ではシンプルながら特徴的な
グラフィックによって、新幹線と並走しても負けないインパクトを
持ち、脇役ではない独自の存在感を打ち出すことに成功している。
以上のことが評価された。
■2017年

京王電鉄5000系

審査委員評価より「座席の方向を転換することで通常の通勤列車と
座席指定の優等列車の双方に使用できる鉄道車両。外観はスマート
な先頭部、車内は高尾山の木々の色や繊維の街・八王子の絹糸の感
触をモチーフにした座席など、既存の車両とは一線を画し特別感を
演出。省エネ性能向上のために電池を搭載し、停電時にはこの電力
を用いて短距離の移動を可能としたという安全性能も評価したい」
西武鉄道40000系

審査委員評価より「通勤通学目的に偏りがちな公共交通の鉄道車両
デザインだが、この車両では低い目線に配慮した大型窓サイズや異
なる多様なユーザーへの移動導線の確保など、車椅子やベビーカー
大型荷物を持ち込んだユーザーの使用想定が徹底的に追求されてい
る。VRを用いた細部検証という新たな取組みも評価したい。鮮や
かに色分けされた外観グラフィックスとピクトグラムは、優先席や
新しく設けられたパートナーゾーンの車内設備を直感的に誘導して
いる」
東武鉄道70000系

審査委員評価より「日比谷線乗り入れ車両のため、異なる鉄道会社
間の伝統や設計思想の違いといった制約条件のなか、東武鉄道独自
のデザインが達成されている。外装は沿線住民の活力を表現したカ
ラーとグラフィックスが飽きのこない印象を与えている。内装は軽
くもたれることが可能なヒップレストやガラス妻引戸の採用により
快適空間に設えられ、車椅子やベビーカーに配慮したフリースペー
スの各車両への設置と海外からの乗員増加に対応した多言語化標記
など、ユニバーサルデザインの工夫を評価した」
小湊鐵道株式会社

審査委員評価より「地域の『逆開発』に向けて駅や鉄道そのものを
より簡素にしながら地域と一体に歩もうとするデザイン。『SATOYA
MA』というコンセプトは使い古されている感もあるが、あえて押さ
えたデザインで地域に歩調をあわせつつも、沿線住民自らが暮らし
の中にある鉄道の風景の質を高めていこうとするデザイン思想が優
れている」
■2018年

小田急電鉄70000形(金賞)

審査委員評価より「バーミリオンの色がまぶしいボディは従来のロ
マンスカーブランドの伝統や様式を損なう事なく新たな息吹も醸し
出している。デザインの細やかな工夫を通して、眺望と開放性、車
内快適性を実現しており『旅』のワクワク感が生みだされる高質な
仕上がりである」
相模鉄道20000系

審査委員評価より「自動車を思わせる前面形状はネイビーブルーの
カラーと共に無味乾燥になりがちな通勤車両に明確な表情を与える
ことに成功している。天井中央を一段高くし、座席の仕切り板に強
化ガラスを用いた開放的な車内は、優先席の座席を立ち座りのしや
すい形状としたことが目を引く。大型化した液晶ディスプレイ部分
を黒色処理とする事で識別しやすくしている点も好感が持てる」
叡山電鉄デオ730形「ひえい」

審査委員評価より「比叡山・鞍馬山といった荘厳な霊峰への観光ア
クセスと、市内近隣の通勤通学の足も両立するこの車両は、大胆な
楕円系のフロントデザインは、京都市街地を徐々に抜け、山々の緑
陰に入り込んでゆく過程での豊かな『緊張感』を車内にまで持ち込
んでいる。細やかな色彩調整と広告の排除による車両の内外装デザ
インと駅舎や周辺景観とも混ざりあい、環境と呼応しながら新しい
風景を創出している」
■2019年

西武鉄道001系(金賞)

審査委員評価より「アヴァンギャルドな球形の先頭車両、風景がフ
ァジーに映りこみ存在感を和らげる車体塗装色、驚くほど大きな客
室窓、窓からはリビングルームを彷彿させる心地よい暖色イエロー
のシートが良く見える、乗車前から乗客の心を昂ぶらせる仕掛けが
満載。広大な窓から見える車窓風景はあたかも外界と室内空間がシ
ームレスでつながっているかの錯覚を起こさせ、普段見慣れた景色
を新しいものへと変えるだろう」
相模鉄道12000系

審査委員評価より「東京都心直通運転という相模鉄道の新しい経営
環境への熱意と、相鉄沿線の地域性を意識したアイデンティティを
感じる車両。通勤型車両としては珍しく、強い自己主張が感じられ
る挑戦は高く評価したい。好き嫌いはあるかも知れないがフラッグ
シップとして利用者からの評価も高いのではないか。車内外のパー
ツひとつひとつも利用者本位で丁寧に作り込まれており、他社との
差別化が見事に図られている点も評価したい」
■2020年

東京地下鉄17000系

審査委員評価より「幅広いユーザーを運ぶ有楽町線のリニューアル
車両として、人の快適さ、多様なバリアフリーな施策に取り組んだ
デザイン。機能面においては、安全面の確保だけでなく、バリアフ
リーに真摯に取り組んでいる。空間性、安心感、清潔感も向上して
いる。細かいところにも気を配ることでユーザーの快適さへの配慮
がうかがえる。制限の多い車両デザインの中で、人に寄り添い、細
かい工夫を積み重ね繊細で完成度が高く、都市交通の成熟を思わせ
るデザインである」
首都圏新都市鉄道TX−3000系

審査委員評価より「つくばエクスプレスにとって久し振りの新車は
通勤電車の最上位車種に位置づけられるだろう。開業以来、利用者
や沿線のニーズは大きく変化しており、利用者も増え続けていると
いう。一方で、激しい混雑や車内マナーなど課題点も多様化してい
る。編成や車両数が限られた環境で、その変化にきめ細かいデザイ
ンで対応している点を評価した」
  東京都交通局・都電荒川線(ロングライフデザイン賞)

審査委員評価より「12キロの沿線上には文教地区や江戸情緒溢れ
る名所があり、都電の走る風景こそが街のデザインとなっている。
荒川線ではレトロな車体や線路沿いにバラを植えるなど景観も大切
にされている。様々な人生のドラマに寄り添い、街や人々の成長を
見守ってきたであろう都電は、多くの人たちの温かな記憶として残
っているのではないだろうか。日々進化する東京にあって、都電の
走る風景が普遍的であってほしいと願うと同時に、コンパクトで簡
便な移動ツールは、東京に限らずこれからの時代にこそ必要とされ
る未来性からも応援したいものだ」
■2021年

東京地下鉄18000系

審査委員評価より「半蔵門線のアイデンティティである江戸、東京
的な紫色が、アルミ車両とのマッチングとともに内外に効果的に配
色され、印象的で好感が持てる。利用者目線で細やかな改善が施さ
れている一方、環境配慮もされている。デザインコンセプトである
『伝統と新しさが交じり合う街にさらなる活力を与えるような車両』
のとおり、新しい東京を支えるデザインである」
東海旅客鉄道N700S

審査委員評価より「SiCパワー半導体の採用によりN700Aよ
りも6%の省エネ化、そして廃棄新幹線車両からのアルミ水平リサ
イクルという環境性能を向上させている。バッテリー自走システム
を搭載して、停電時にも最寄り駅までの走行を可能にした、非常時
対策も加えた。国内JR他社や海外での採用も検討されており、ま
さに高速鉄道車両の世界標準とも言えるプラットフォームを提供し
ている」
  ■2022年

東京都交通局6500形

審査委員評価より「ここまで角にこだわった外観は数ある通勤電車
の中でも異色であり、それだけで個性になり得る。沿線にオフィス
街やマンモス団地を有する路線らしいとも感じた。ラインカラーの
青を外観だけでなく車内にも効果的に取り入れていることも目を引
く。袖仕切りにガラスを使うなどして開放感を出しつつ、荷棚や吊
り手の位置を下げるなど使いやすさへの配慮もあり、大都市にふさ
わしい合理的な移動空間に仕上がっている」
  阪急電車のデザイン(ロングライフデザイン賞)

審査委員評価より「パブリック・トランスポーテーションの中でも
地域との関係性を大切にしようと、創業者の機知に富んだビジョン
によって安全で満足度の高い未来へ向けた事業が進められてきた。
阪急電車のシンボルは、開業以来継承されてきたマルーンカラーで
車体の外装色として定着している。さらに丁寧に良い素材を駆使し
て適度に装飾された品の良い車両の内装は、電車内にいてもリフレ
ッシュすることができる、凛とした不思議な体験を利用客へ提供す
る場となっている」