にょほほ電鉄 - 鉄道関連施設 - 東京都交通局白丸調整池ダム・・・
東京都交通局といえば都営地下鉄や都電などで有名であるが、あま
り知られていない事業として東京・多摩川上流での発電事業があげ
られる。小河内ダム直下の多摩川第一発電所白丸調整池直下の白丸
発電所、白丸調整池からの地下導水路を利用し発電を行う多摩川第
三発電所があり、発生した電力は、交通局の前身である電気局から
1942年に分割民営化された東京電力へと売却されている。この
項では、稀有な存在の鉄道事業者直営の発電事業のうち、白丸調整
池ダムを紹介する。

■白丸調整池

JR青梅線の白丸駅から青梅街道を鳩ノ巣方面へと向かうとエメラ
ルドグリーンの水面が美しい湖が目に入る。この湖が白丸調整池。
1963年に東京都交通局によって建造されたダムにより堰き止め
られた人造湖である。上流にある奥多摩湖(小河内貯水池)は貯水
用であるが、この湖は当初より発電用として作られている。
■白丸調整池ダム

湖の下流側には大きな重力式ダム(ダム自身の重さで水圧に耐える
ダムの事)がそびえるが、これが白丸調整池ダムである。水門は巨
大な主ゲートが2機、やや小さめの副ゲートが1機備わる。ダム左
側には水門操作用詰所が見られるが、この詰所の直下からJR御嶽
駅近くに設置された多摩川第三発電所までの地下導水路が敷設され
ている。
■放流中のダム

ダムで堰き止められた水はそのまま地下導水路を経由するため緊急
時を除き、水は流れないはずだが、ダム下流には鳩ノ巣渓谷がある
ため、景観維持と観光支援の目的で下流側の観光放流用放水口から
観光放流がされている。なお訪問時は、白丸調整池の水位上昇のた
めダムの副ゲートから放流をしていた。画像は放流中のダムを上か
ら覗いた写真であるが実に迫力満点である。なお調整池の満水時に
は更に主ゲートからも放流を行う。
■ダム下流と魚道

上の画像と同じ位置から多摩川下流流域を望む。2000年には観
光放流の水をも有効利用するため、新たに観光放流用導水路と白丸
発電所がダム直下に建設された。発電所は景観に配慮すべく地下に
あるため見る事は出来ない。なお画像左側には階段のような細い水
路が見えるが、これは多摩川を往来する魚がダム上流に行く事が出
来るように建設された魚道である。なおこの魚道の一部は、付近に
設置された施設にて見学が可能。
■詰所から伸びる謎のモノレール

ダムの脇には、水門を操作する詰所があるがこの詰所から謎のモノ
レール軌道が敷設されている。これは調整池や詰所内で発生した廃
棄物をダム上の青梅街道旧道付近まで輸送するためのもの。ダム上
にはトラックに廃棄物を積むためのブースも設けられている(
矢印
を画像にかざすとブースの画像に
)以前は施設内に焼却炉を設けて
おり、廃棄物を焼却炉まで輸送するための線路が敷設されていた。
(詳細は下段)
■以前に存在した謎の線路

以前にはダム脇の詰所付近に焼却炉が設置されており、焼却炉へ廃
棄物を運ぶべく、台車と、台車が走行する線路が敷設されていた。
線路はこの門を通り抜け、画像左手前奥の焼却炉まで続いていたが
先述のモノレール設置によって線路は撤去された。
※画像は2007年撮影
■ダム下流の多摩川

JR鳩ノ巣駅近くの吊橋の上から撮影。鳩ノ巣駅からはこの吊橋を
渡り、多摩川沿いの遊歩道を歩いてダムへと赴く事が出来る。なお
吊橋付近にはアトリエがある他、河原付近へも降りる事ができる。
画像左下に観光客を見る事が出来る。この川のはるか下流で新宿線
や三田線、浅草線の車両が鉄橋を渡っているとは、にわかに想像で
きない。



訪問時に注意を怠ると死亡または重症を負うことが想定されます
ので、訪問時には充分お気をつけ下さい。


白丸調整池ダムの最寄り駅はJR青梅線・鳩ノ巣駅となります。
駅からダムまで徒歩で赴く場合、多摩川沿いの遊歩道や青梅街道
となりますが、青梅街道には歩道がなく、徒歩で訪れる際は車道
を歩く事となり非常に危険です。白丸調整池ダムへは車での訪問
をお勧めいたします。徒歩の場合は多摩川沿いの遊歩道が比較的
安全ですが、お勧めはできません(理由は後述)やむなく青梅街
道経由で赴く場合は充分にお気をつけ下さい。もし事故に遭われ
た場合でも当サイトは一切責任を負いかねます。



ダムまでの訪問手段として多摩川沿いの遊歩道がありますが、こ
の遊歩道は過去に台風で破壊されたことがあります。現在は復旧
しておりますが、それでも落石の恐れがありますので、荒天時に
は遊歩道の利用をお控えください。また近年、熊の出没も確認さ
れておりますので、十分に注意のうえお歩きください。もし事故
に遭われた場合でも当サイトは一切責任を負いかねます。


白丸調整池ダムは冬季を除く早朝や、大雨等で調整池が増水した
場合に水門から放流を行います。その場合、ダムの下流域は急激
に増水いたしますので非常に危険です。放流時は絶対に河川に近
づかないで下さい。なお放流5分前にはサイレンが鳴りますので
河原にいる時にサイレンが鳴りましたら急いで避難して下さい。