にょほほ電鉄 - 路線 - 田浦専用線跡・・・
JR横須賀線の田浦駅には、横須賀方面へと伸びる細々とした線路
が分岐し敷設されるがこれが相模運輸倉庫の田浦専用線である。一
見、長浦港に面したごく普通の廃線であるが実は線路の一部は、在
日米軍の所有となっており、過去にはジェット燃料輸送も行われて
いた。さらに歴史を遡ると旧日本海軍の施設として使用されていた
歴史もある。この項ではキナ臭い廃線跡を紹介する。
※画像は2010年10月および2011年3月撮影のものです。
 現在、一部施設は道路舗装工事により撤去されています。

■土に埋もれた相模運輸倉庫・田浦専用線跡

JR田浦駅の北口を降り長浦港方面に進むと、相模運輸倉庫の倉庫
群が目に入る。現在でこそ、倉庫として使用されているが、元々は
1917年(大正6年)に建設された旧日本海軍の施設であった。
またF号倉庫は軍需部の修理場としても使用された過去を持つ。こ
の倉庫の下に目をやると土に埋もれた線路が現れるが、これが相模
運輸倉庫の専用線跡であり、古くは旧日本海軍の専用線である。
■海上自衛隊艦船補給所へ進む専用線跡

上の画像の背後側。専用線跡を進むと、海上自衛隊艦船補給所へと
突き当たり、レールはそこで途切れている。
茂みに埋もれたレール
部分には「米国政府使用施設」なる物々しい看板が目に入る。この
線路は、敷設年は定かではないが、1940年の地図には既に記載
されていた、旧日本海軍の施設であったが、戦後は米軍に接収され
た。そのため現在でも、軌道内への立入りは禁止されている。
■長浦港からの線路と合流する

さらに長浦港方面へ進むと、横須賀港湾合同庁舎の前で線路と合流
する。この線路は長浦港の岸壁からやって来た線路で、この線路も
また軌道内への立入りは禁止されている。なお、2012年に入り
付近の道路は歩道と車道の分離により舗装し直されているが、奇跡
的に、この付近の専用線跡は残されている(画像は2011年3月
撮影)
※矢印を画像にかざすと長浦港方面の線路の画像へ。
■吾妻川を越える橋梁跡

港湾合同庁舎を越えた先には、吾妻川という小さな川と交差する。
ここにガーター橋梁が設置されていた。1917年設置の年代物で
あり、2010年訪問時までは残っていたが、2011年3月の訪
問時には、残念ながら撤去されてしまった。
■道路と併走する専用線跡

吾妻川を越え、専用線跡は引き続き道路と併走するが、2012年
になり付近の道路は、車道と歩道を分離する工事、および下水道管
埋設工事が開始された。しかしこの工事により専用線跡が撤去され
てしまった。なお、この付近の線路脇に鎮座する相模運輸倉庫5号
倉庫は、旧日本海軍・軍需部の長浦倉庫であった
(画像は2011年3月撮影)
■箱崎踏切と平面交差

相模運輸倉庫・第5倉庫を越えた先に箱崎踏切がある。警報機は撤
去されず存置されているが、特筆されるのは、田浦駅構内から米軍
箱崎燃料基地方面へと向かう線路と平面交差する事である。線路同
士が直角に交わる平面交差の事を「ダイヤモンドクロッシング」と
言い、路面電車以外ではお目にかかれない施設である。ところが先
述の下水道工事により、この貴重な鉄道施設も一部は残念ながら撤
去されてしまった(画像は2011年3月撮影)
※現在、平面交差より右側は道路舗装工事により撤去されています
■比与宇(ひよう)トンネル

専用線跡は平面交差を越えた先、田浦駅構内からやって来た線路と
合流し、比与宇トンネルの手前で途切れる。過去には、線路はトン
ネル内部まで伸びており、戦時中にはトンネル内に弾薬庫が設けら
れ、弾薬を運んできた貨物列車から弾薬を積み卸したとも言われて
いる。トンネル内の線路はアスファルトで雑に埋められているので
痕跡は容易に発見できる。今度は線路を田浦駅構内方面に進む。
(画像は2010年10月撮影)
※現在は道路舗装工事により撤去されています。
■道路と交差する線路

上の画像をやや引いたところから撮影。線路は右手前にカーブしな
がら道路を越え、田浦駅構内へと進む。青いラパン(作者の車)が
停車している左脇に、長浦港からやって来た専用線の線路がある。
(画像は2010年10月撮影)
※現在は道路舗装工事により撤去されています。
■田浦駅構内へと伸びる線路

上の画像の背後がこちら。この先、米軍箱崎燃料基地からやって来
た線路と合流し、田浦駅構内へと向かう。過去にはこの場所にディ
ーゼル機関車が存置されていたが、いつの間にか姿を消していた。

大正時代に、海軍省により整備された専用線は、その後の第二次世
界大戦での敗戦により米軍に接収される。米軍用のジェット燃料の
ほか、昭和50年代までは長浦港で陸揚げした飼料を積んだ貨物列
車も見られた。1998年を最後に線路は使用される事がなくなり
2007年にはJR線路とも切り離され、事実上の廃線となった。



訪問時に注意を怠ると逮捕または職務質問を受けることが想定さ
れますので、訪問時には充分お気をつけ下さい。


当施設の一部は在日米軍の所有となっております。立看板の記載
はアメリカ政府による「警告」となりますので、特に専用軌道部
への立ち入りは絶対にお止めください。また周囲は在日米軍の他
海上自衛隊の施設もあり、警備が厳重な場所です。不用意な行動
をすると職務質問される可能性がありますので、見学の際は充分
にご注意ください。もし不利益を被った際でも、当サイトは一切
責任を負いかねます。


上記の通り、付近一帯は国家機密機関が密集しているため、その
ような施設へカメラを向けることは絶対にお止めください。また
純粋に廃線の写真撮影であっても、撮影の際には充分にお気をつ
けください。