にょほほ電鉄 - 駅 - 辰巳駅・・・
辰巳駅は、東京都江東区の湾岸地区にある東京メトロ有楽町線の駅
である。駅構造そのものは一般的な構造であるが、特異なのはその
立地である。地元の利用者以外、駅を見つけるのは困難に近い。こ
の項では、そんな辰巳駅の駅周辺を紹介する。

■辰巳一丁目アパート

辰巳は大正末期から昭和初期にかけて東京湾7号地として埋め立て
られた場所。深川地区は皇居から見て南東の方角(辰巳の方角)と
なり、辰巳という名前は以前から深川(主に門前仲町)を示す言葉
であったが、1968年の住居表示の際にこの地区の地名となった。
居住区域は1丁目のみで、しかも殆どが辰巳一丁目アパート(辰巳
団地)の敷地となる。1967年より建設が開始された広大な団地
であるが、建物の老朽化や住民の高齢化が課題。平成に入り、隣接
する東雲地区には高層マンションが林立し、風景はまるで異なる。
※矢印を画像にかざすと、辰巳橋から東雲地区を望んだ画像へ。
■辰巳駅と駅前ロータリー

辰巳団地は殆どが5階建ての建物となるが、2棟のみ12階建ての
高層棟となる。その高層棟方向へと向かう袋小路を進むと、突き当
たりに小さなロータリーと地下鉄の出入口が見える。ここが辰巳駅
である。団地内や付近の道路標識にも駅の存在は全く記されていな
いため、地元利用者以外、駅までたどり着くのは困難である。
■辰巳駅(1番出入口)

東京メトロ有楽町線の駅。画像は1番出入口で、前述の辰巳団地の
ほか、駅前にある辰巳桜橋を介して、東雲方面に赴く事もできる。
駅前は実に異質で、一般的な駅前には必ずあるようなファストフー
ド店やコンビニなどの類は皆無であり、生協系スーパーが1店舗あ
るのみ。その他、小学校が2校(辰巳小、第二辰巳小)がある他は
全てが団地となる。なお付近は運河の河口となるため、1番出入口
の階段の途中には防水扉が設置されている。
※矢印を画像にかざすと、防水扉の画像へ。
■辰巳地盤沈下観測所

駅前ロータリーの片隅には、辰巳地盤沈下観測所が設置される。東
京湾地区の埋立地の地盤沈下の状況を調査し、埋立地の開発や維持
また保全および防災対策に役立てている。地盤沈下観測所は、他は
大井埠頭に2箇所と有明、新砂、15号地(現:若洲)に設置され
ているが、住宅地のしかも駅前に設置されているのは、ここだけと
なる。
■辰巳水門と辰巳排水機場

駅前ロータリーから辰巳桜橋を渡ると、程なく辰巳水門が目に見え
る。辰巳水門は辰巳運河の河口に立地し1962年に完成した複葉
ローラーゲート式の水門となる。また万一の際の水門閉鎖時の、上
流からの水の流入による氾濫の危険を防ぐため、隣接して排水機場
も設けられている。画像は辰巳桜橋からの撮影であるが、水門の真
横に地下鉄のトンネルが埋設されているとは、にわかに信じがたい。
■改札口

地下に潜る。画像は辰巳駅の改札口。B2Fの深さに位置する。改
札は一箇所のみとなる。前述の1番出入口と後述の2番出入口とは
構内通路で通り抜けが可能。画像の奥が2番出入口。最も奥の階段
を上ると、さらに通路が続く。
※矢印を画像にかざすとB1F通路の画像へ。
■辰巳駅(2番出入口)

辰巳駅の2番出入口。辰巳の森緑道公園の敷地内に位置する。また
湾岸道路を越えた先は物流関連の企業が多く、物流関係の会社員の
利用が多い。出入口は公園内の小高い丘の頂上に位置しているため
木々に埋もれた中からメトロマークだけが顔を出すという、違和感
半端ない光景が広がる。また駅の先の辰巳交差点の頭上には、首都
高速辰巳ジャンクションが設置され、その光景はさながら絵本で出
てくるような「未来空間」となる。
※矢印を画像にかざすと駅前風景の画像へ。
■公園の木々と同化する地下鉄入口サイン

辰巳の森緑道公園に面した都道319号線(三ツ目通り)上にある
地下鉄入口のサイン。前述の通り、2番出入口自体は公園の丘の上
にあるため、サインの場所から出入口までは、徒歩1分ほどのアプ
ローチがある。
辰巳駅は1988年に有楽町線の新富町〜新木場間の延伸開業の際
に設置された。片や団地に囲まれた空間、片や緑や高速道路に囲ま
れた空間と、同じ駅の出入口にして全く異なる風景が広がる不思議
な立地の駅となる。